アベノミクスでメリットが多いのは富裕層

インフレ2%を目標とするアベノミクスの金融緩和政策が本格的に始まりつつありますが、はやくも円安が100円台を回復するところまで来ています。去年の70円台から今年の100円台へと急激に上昇してきており、この円安は国際的にも容認される方向ですので、日本の国際的な貨幣価値が2割ほど目減りしたことになります。

今まで貯金をしてきた人にとっては、ただ単純に貯金しているだけでは資産価値が減少してしまう傾向にありますので、可能な限り、投資に費やすべきときが到来しております。円安になった分、輸入品に関しては大幅な値上げになり、電気代やその他の日常生活品でもいずれは値上げされる商品も出てくるかもしれません。

この影響については、年金生活者の高齢者にとってみれば、年金は物価スライド制ですので、インフレとなった場合でも、いずれその分は上がっていくものと思います。ただ、貯蓄については、相対的にみれば、実質的な価値が減少してしまうかもしれません。

一方、サラリーマンの現役世代にとっては、円安のメリットがゆくゆくは給与に反映される形になるはずですのでプラスの側面があります。

さらに、すでに多くの資産を保有している人にとってみては、株式投資をすることにより、円安のメリットを享受しやすいはずです。2012年末からの数か月間で日経平均株価は5割増しになっており、円安の影響を受けやすい銘柄については倍増しているケースも多いですので、単純に資産が2倍になったケースも多く報告されています。

つまり、1億円を持っている富裕層はプラス1億円になり、1万円しか持っていない貧困層はガスや電気料金の値上げでマイナス数万円になってしまうというような、格差社会がすでに進行しつつあるわけです。

来年の春からは消費税の増税が予定されていますが、富裕層にとってみれば、1億円を持っているからといって何千万円も食費や日常品で消費することはできません。消費にまわせるのは、贅沢な暮らしをしてもせいぜい数百万円程度かと思いますが、数%の増税となっても実質、数万円程度の増税なわけですので、億単位の資産を保有している富裕層にとっては、消費税増税の影響はないに等しいわけです。

一方、年収数百万円程度のサラリーマン家庭からすると、数万円の増税であったとしても影響は大きいものです。この点、現役世代は円安で給与収入が増える可能性はあるものの、メリットとデメリットが相殺される形になるでしょう。

結局のところ、一番割を食うのは、年金生活者や高齢な方、あるいは無職で収入がない方になり、現役世代にとってみては、景気がよくなっているのか、そうでないのかが判然としない感じになるはずです。

一方、富裕層にとってみれば、すでにバブルのような様相を呈してきており、高級外車などもバンバン売れているようで、アベノミクス様々といった感じかと思われます。

この点を考慮に入れつつ、何らかの対策が可能であるとすれば、できるだけ資産を投資に回すようにすることをおすすめします。