2014年度の就職率はアベノミクスで改善するか?

来年度の春に卒業を予定している大学生の現時点での就職率は14.4%にとどまっており、アベノミクスによる効果は今のところは限定的なものになっています。円安による株価は上昇してきてはいますが、株は企業の将来の価値を反映したものですので、企業の業績が実際に改善に向かうのは、まだ先といってもよいでしょう。

例えば、輸出関連企業でいえば、円安により企業の収益が改善し、そのあとに従業員の給与などに反映される形になります。サラリーマンの給与が改善されてからはじめて内需の拡大へと向かい、結果として景気回復が実感として感じられるという順序になるかと思われます。

ここの段階に来てはじめて、企業側としても従業員を増やしてみようかなというふいんきになりますので、現時点ではまだ、就職率の改善はあまり見込まれないと考えてもよいでしょう。

この際、企業側で出た利益については内部留保に回ってしまう可能性もあります。つまり、給与を現状のまま、雇用も増やさずに人件費を節約して会社の将来のために設備投資をしたりするというものです。こうなってしまうと、内需も拡大せず、景気回復の実感がなくなってしまうかもしれません。

ただ、国内企業の9割以上が今年は景気回復するだろうとの実感を持っており、景気が悪くなると考えている企業はほとんどいないのが実際のところかと思います。はやければ2014年度の卒業内定率にも反映されていくものと思われます。

一方、消費税の増税が来年度から予定されており、増税後に景気が冷え込む可能性もありますので、企業としても新卒者の採用は慎重にならざるを得ません。このあたり、今後の就職率が上がる可能性もあれば、下がる可能性もあり、注目が集まるところかと思われます。