国公立大学の人文系学部は縮小すべきでない

文部科学省が国公立大学での人文系学部の再編を検討しているようですが、これはもっとはやくにやっておくべきでした。私の場合などもそうですが、文系大学というのはつぶしが効かないのです。文学部はもとより、経済学部や法学部などでも同様で、大学は出ても就職先が見つからず、工場派遣で単純作業をされている方がとても多いです。

また、以前までは花形だった法学部についても、現在は弁護士になっても仕事がありません。ちょっと前までは消費者金融の過払い金返還訴訟で業界がうるおってましたが、それもあと数年で期限切れになります。最近はワープア状態の弁護士も実際に多く、以前までとは状況が一変していきています。

また、IT技術の発展により、今後は税理士や会計士なども業界が先細りしていくことでしょう。

私も以前までは自分の会社の法人決算を顧問税理士に委託しておりましたが、最近は会計ソフトやフィンテック(Finance + IT技術の略)の分野での発展が目覚ましく、E-taxやEl-taxを利用しながら、税務申告は自分で対応できるようになってきております。特に税理士と顧問契約する必要性は見当たらず、契約を解消してしまいました。

損金や益金の解釈、あるいは節税対策などでは税理士も必要な部分はありますが、ネット社会の現在、検索すれば必要なノウハウは入手することができます。加えて、益金や損金の解釈に関わる税務の専門分野でもいずれは自動化される可能性が高いので、今後は税理士や会計士になっても食えなくなってくるはずです。

なので、法学部や経営学部、経済学部などを出たとしても、今後は就職先がなくなってしまう可能性が出てくる事が想定されます。少子高齢化社会の現在、必要なマンパワーが限られているなか、人的資源を理系に集中させる方向へ転換することは必要な作業ですので、人文学部系の縮小と再編は致し方ないことかとは思います。

けれども、一方では少子高齢化を招いた原因は人文系である政治分野の質があまりに低すぎたという点も大きいです。国会中継などを見てましても、レベルの低いパフォーマンスだけのやりとりが多すぎます。レベルが低いというよりも、むしろ幼稚なケースが多いです。

少子高齢化や国債残高の増大など、それらがすべて政治分野の質が低すぎたことに原因がありますので、人文系についてはもっと質を高めることが必要ではないかと思われます。

教育分野については国家百年の計で考えることが大切ですが、目先のことばかりを考えた結果として、派遣解禁による少子化問題や赤字国債残高1000兆円などの結果になっている状況です。ちょっと前まではゆとり教育などともてはやされ、理系を縮小してきたのに、今度は科学振興による成長戦略の名の元、コロっと文系縮小の話が出てきたりして数年で方針が変更されている状況です。

「2番じゃだめなんですか?」と言っていた議員もいましたが、人文系の質を上げなければ、いくら理系分野で頑張っても簡単につぶされてしまう結果にもなりかねません。

そこで僕が変わりに国家百年の計を考えてみますに、まずは国立大学で倫理・政治経済、歴史、哲学の専門学部を増設するのがよいと思います。縮小するなどもってのほかです。そして、国会議員には学歴による制限を課し、国立の人文学系を出た人物でないと政治家にはなれないというルールを設けるべきです。

日本は経済と科学は1流といわれていますが、政治は3流ですので、人文系のレベルを引き上げない限りは日本に未来はありません。文系学部の縮小と再編は必要だとは思いますが、それは天下り先になっている私立Fラン大学の文系学部を縮小するべきであって、国立大学の文系はむしろ増設すべではないかと思うのです。